後遺障害

遷延性意識障害,高位脊髄損傷,高次脳機能障害のご家族の方へ

遷延性意識障害で寝たきり状態になった、
高位脊髄損傷で寝たきり状態になった、
高次脳機能障害で記憶障害、コミニュケーション障害、すぐにキレルなどの人格情動障害となった。

 

それらの障害のあるお子さんやご主人、奥さんを日々、介護し介助しておられるご家族の心労は、我々の想像を超えるものがあると思われます。

 

それらご家族の方ご自身、以下のようなご経験はありませんか

 

  • バラエティー番組を見ていても、突然、涙が溢れだした。
  • あの時、ああしていれば事故は起こらなかったかも知れないと、考えても仕方のないことを、何度も何度も繰り返し考えてしまう。
  • 一人ぼんやりしていることが多くなった。
  • 忍耐の限界に達し、介護中についキレてしまうが、次の瞬間、途端に自己嫌悪に陥りしばらく立ち直れない。
  • 自分の嫌な面を思い知らされる、自信を無くしてしまう。
  • 将来に希望が持てない。
  • 時には一人になって心身を休めたいが、支援機関は脆弱であり、支援機関に恵まれていても交代要員になってくれない。
  • 思い切って一人でショッピングに出てみたが、家のことが気になって仕方がない、罪悪感に苛まれ自己嫌悪に陥った。
  • これまで、周囲から「頑張って」という言葉を何度聴かされてきたことか。そして、その言葉に、これまでどれほど傷つけられてきたことか。悪気がなく気遣いのつもりで言っていることがわかるだけに、怒りを露わにも出来ず、じっと堪えているしかない。それが却ってストレスになる。
  • 将来の経済不安を抱えながら、とにかく一人で前に進むしかないが、無理はいつまでも続かない。心身ともに疲労し、精神状態に壊れが生じつつある。
  • 障害者が夫であるときは、妻は、落ち込んでばかりいられず、子供達に父の現状を説明し、家事従事の他さらに自身が家族の経済的基盤となるなど二重三重の役割を負担することを余儀なくされる。
  • 障害者が子供の場合は、自分達が死んだ後のことが心配でたまらない。

 

以上は、これまで我々が体験した被害者のご家族の声です。他にもいろいろ辛い思いをされていることがあるかと思われます。

 

在宅高位脊髄損傷遷延性意識障害の場合は、濃厚介護が必要であることが一目瞭然であることから世間の理解を得やすいのですが、高次脳機能障害の場合は、一見すると障害者であることが分かりません。ですから、世間の理解が得られず、裁判所からも理解してもらえず、将来の介助費用や近親者慰謝料も否定され、孤立無援の状態に置かれ、絶望感を覚えられることもあるでしょう。

 

遷延性意識障害の場合は、人格の喪失で、高次脳機能障害の場合は人格の変化で、どうしても他人と暮らしている錯覚に陥り、違和感を覚えてしまう。これまでの家族の団欒は完全に奪われていることでしょう。

 

在宅高位脊髄損傷の障害者の場合は、知能に問題がないことから、障害者自身 が、家族に迷惑をかけているという気持ちと、どうして満足ゆく介護をしてくれないのか、との狭間で揺れ精神状態がもたなくなり、それが介護している家族に も伝わる、緊張状態も生じる、などでお互いに辛い思いをされていることでしょう。遷延性意識障害の場合は、その緊張状態すら生じない。会話が全くないことでしょう。高次脳機能障害の場合も含めて、これらご家族の方には事故前の状態が元に戻ることは二度とないことでしょう。

 

多くのご家族の方は、インターネット検索を通じて、一度は、被害者家族の会に連絡をされ、相談まではされたご経験があるかと思われます。そして、会合に参加されたり、会員になって活動を継続されている方もあると思われます。

しかしながら、被害の状況や悩みの内容や程度が必ずしも同じでないことから、一枚岩ではなく、温度差を感じてしまい、疎遠になったり、途中で辞めてしまったりされる方もおられることかと思われます。

 

我々法曹は、この問題に関しては極端に無力ですが、ご家族を見ていて感じることがあります。

 

それは、とにもかくにも、家族会へのかかわりや参加を継続されている方々の方が、『目に力がまだ残っている』ということです。

 

ある家族会で中心的な活動をされている方の感想も、同じようです。

 

「相談を受けていても、自分の無力感を禁じ得ません。しかし、1時間前よりは重荷をわずかながらでも軽くなったと感じておられる方が多いように実感 しています。体験を同じくする人と話しをしたからといって肩の荷が下りることなどあり得ませんが、同じ悩みや憤り、戸惑いを分かち合えると感じ、その一瞬 でも肩の荷が下りたような気分になられるようです。」

 

「家族会では、お互いに、誰もが話しを聞いてもらう身であり、同時に話しを聞く側でもあります。抱えている問題の内容、経験の有無、被害者の家族としての認識の習熟度によって、どちらの側にもなり得るのです。」

 

初めの頃は聞いてもらう側だったのが、いつのまにか聞く側に回っています。それが却って自身の励みにもなるようです。

 

家族会にかかわったところで、目の覚めるような解決策がそこにあるわけではありません。『独りじゃない。仲間がいる。』ただそれだけのことです。しかし、ただそれだけのことでも、大きな力になっていると感じます。少なくとも家族会とのかかわりを持ち続けている人は、そう感じているはずです。」

 

介護者が元気でないのに、被害者本人が元気でいられるはずがない」ことを考えると、一人で悩んでいないということは、ことのほか重要なことのように思われます。

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