解決実績

事故当時30歳公務員(女性)の脊髄損傷・高次脳機能障害1級1号の事案で、過去の全判決例中3番目に高額の認定額、女性被害者では過去最高の認定額を上回る約4億2800万円の総損害額を認める和解を獲得しました。

脊髄(頚髄)損傷による四肢体幹完全麻痺、高次脳機能障害 1級1号

加害者側主張金額 2億1680万5666円
UPした金額 1億6500万0000円
解決した金額 3億8180万5666円

UP率1.8

解決タイプ
裁判上の和解(H29.3.3)
属性
公務員(30歳女性)
等級主な傷病
脊髄(頚髄)損傷による四肢体幹完全麻痺、高次脳機能障害 1級1号
争点
将来介護費、住宅購入費、過失割合
カテゴリ
脳・脊髄その他の神経症状

事案の概要

事故当時30歳の女性が夜間、住宅街の道路を自転車で横断中、直進してきた車両に衝突された事故。事故直後は心肺停止状態でしたが、蘇生処置で一命をとりとめました。

 

外傷性くも膜下出血、脳挫傷、第2頚髄損傷等で1年以上も遷延性意識障害の状態が続き、意識障害の改善後も四肢体幹完全麻痺、気管切開による発声不能、重度高次脳機能障害による意思疎通困難という重篤な障害が残り、後遺障害等級別表第一第1級1号と認定されました。

 

加害者側保険会社が示談に応じなかったため、適正な賠償を求めて訴訟提起しました。

 

裁判所和解案の内容

訴訟では、特に将来介護費をめぐって双方の主張が大きく対立しました。

 

被告側は、「将来介護費は損害額の算定が困難であるから控えめに算定すべきだ。」「現状よりも長時間の公的福祉サービスを受けられるはずだ。これを受けないのは長時間の介護が不要だからだ。」「将来の介護費用は公的福祉サービスに対する自己負担額ベースで算出すべきだ。」などとして、将来介護費は月額30万円(日額1万円)以下で足りると主張しました。

 

これに対し穂高は、過酷な在宅介護の現状や公的福祉サービスの利用状況を詳細に主張、立証するとともに、安易に控えめな算定をすべきではないこと、将来も現在の公的福祉サービスの水準が維持されるかどうかは不確定であるから自己負担額ベースではなく(公的福祉サービスを考慮しない)実額ベースで算出すべきであることを強く訴えかけました。

 

裁判所は、将来の介護費について、

・退職して介護に専念している父が70歳に達するまでの2年間は、

父母による介護について日額1万6000円、職業介護について日額約1万3600円の合計日額約2万9600円

・その後被害者の平均余命までは、

職業介護について日額1万8000円、父母による介護について日額2000円の合計日額2万円

合計約1億4150万円

とし、

 

総損害額(弁護士費用、調整金を含む)を約4億2800万円と認定する和解案を提示しました。

 

双方当事者がこれに応じ、和解案のとおりの金額で和解が成立しました。

 

和解案の画期性

将来介護費の認定額としては、過去の全判決例の中で7番目に高額の認定額(大阪地裁岸和田支部平成14年7月30日判決の約1億3600万円※1)、

女性被害者の事例としては過去最高の認定額(東京地裁平成15年8月28日判決の約1億3200万円※1)を上回っています。

※1.自保ジャーナル「判例システムVSバージョン2017年上期」を用いた検索結果による。

 

また、今回の和解案で認定された約4億2800万円の総損害額(過失相殺・既払い金控除前の総損害額。調整金等も含む。)は、過去の全判決例の中で3番目に高額の認定額(横浜地裁平成23年12月27日判決の約3億9700万円※2)を上回り、

女性被害者の事例としては過去最高の認定額(大阪地裁平成19年1月31日判決の約3億4800万円※2)を上回っています。

※2.自保ジャーナルNo.1991掲載の「高額対人賠償判決例」による。