交通事故被害で泣き寝入りしないための7つの鉄則:事故直後の鉄則~自身でする事後調査(警察任せにすると後悔します)~

事故直後の鉄則
~自身でする事後調査(警察任せにすると後悔します)~

事故発生直後の現場検証と
現場の保存(写真・ビデオ撮影)

鉄則1

特に、加害車両の停止位置、被害車両の停止位置、フロントガラスや破損部品の散乱位置、ブレーキ痕等を写真で撮影しておく。これらは、主として加害者の衝突時の速度を残す証拠として重要。

現場の保存と写真撮影を行う。

鉄則2

車両やヘルメット等破損物の保存又は撮影、目撃者捜し

今日の交通警察の事故捜査の実態、臨床の実態、自賠責保険の後遺障害等級の認定システム、裁判所の認定実務の傾向を見た場合、被害者が適正な賠償を得ることは容易ではありません。警察任せ、医師任せ、保険会社任せ、弁護士任せにしていたのでは、ほぼ確実に泣き寝入りを強いられるか、少なくとも納得のゆく賠償は得られないと考えられます。

そこで、被害者が適正な賠償を得るためには、どのような点に留意し、どのように自助努力して証拠を収集しておけばよいのか、について解説したいと思います。

後遺障害認定の現状

事故責任の立証責任は加害者にあります。被害者に「加害者に責任がある」ことの立証責任があるわけではありません。しかし証拠を残しておかないと、いざ裁判となれば被害者に事実上極めて不利な判断がなされます。

証拠がないと適正な賠償を得ることは出来ません。
なぜなら、交通事故による被害の有無・被害の内容と程度・被害額についての立証責任が被害者側にあるからです。

例えば、被害者が「交通事故によって靱帯を損傷した」と主張しても、その主張を裏付ける証拠がないと、裁判所は「真実は裁判所にはわからない。真実は、君は交通事故によって靱帯損傷したのかも知れない。でも、少なくとも、その交通事故によって靱帯を損傷したのだと裁判所が認定できるだけの証拠がない。証拠がない以上、裁判所は、直感だけで、ましてや君の真摯な態度だけを見て、君の主張が真実だと認定をすることは出来ない。」と判断します。

弁護士に依頼したところで、立証できるだけの証拠が無い以上どうにもなりません。そうなれば、被害者は泣き寝入りです。

このように、損害立証が出来ずに泣き寝入りを強いられている交通事故被害者が、ことのほか多いことに驚かされます。
そこで、ここではこれまでの経験から、被害者やご家族の方が証拠の収集に関して失念しやすい点や判断を誤り易い点について指摘します。

現状把握の重要性について

たしかに、事故発生直後は、気を失っていたり、気が動転していたり、また、何より自身やご家族の怪我の状態が気になったりで、現場を保存するどころの話しではないでしょう。また、そんなことプロの警察に任せておけばいいのだ、と思われるかも知れません。
しかし警察捜査は被疑者(加害者)の供述に沿った調べで終結してしまう場合が多く、実際に交通警察の現場検証は杜撰なものが実に多いのです。

慢性的な警察官不足

ここ20年間で交通事故件数は倍増しているが警察官の人数は変わっていません。

操作の困難性

被害者本人(特に死亡や重度後遺障害)や目撃者が現場にいないことが多いことで捜査が困難であることがあります。

加害者側への配慮感覚

所詮は過失犯、わざとしたわけではない、という捜査機関内部の加害者側に配慮する感覚。

交通警察の現場検証が
杜撰なものになりやすくなる

そのこともあってか、起訴猶予の割合が全体の85%もあり、これは85%が実質上無罪になっているということを意味しています。
そして、残り15%のうち略式命令(罰金のみの刑罰)が10%を占め、正式裁判になるのは1%に過ぎません。さらにその1%の正式裁判の結果を見ても、実刑率は0.12%に過ぎません。
すなわち100人の加害者のうち、実刑は1人、罰金が10人、89人が実質上の無罪放免となっているのが現状です。

実際、交通事故現場を実際に検証してみると、警察が作成した現場見取図に多くのミス、不正確さ、不十分さがあることを発見し、唖然とすることが少なくありません。
捜査機関のいい加減な捜査により、過失割合が決定的に左右され、被害者に大きく不利に働きます。

若干の経験例を掲載します。

警察の杜撰捜査の例1

警察の見取図には、道路の幅員が僅か1.5mと記載されていたため、『被害者運転のバイクが、狭い道路なのに強引に加害車両の横を通過しようとしていたのだろうなあ』と思って現場に行ってみました。
ところが、実際には道路幅は4.2mもあり、バイクなら簡単に加害車両の横を通過できる幅であることが判明しました。
この発見によって過失割合が大幅に被害者側に有利に変更されました。

警察の杜撰捜査の例2

加害車両のフロントガラスが割れているのに、警察の見取図にはガラスの破片の散乱位置の記載がありませんでした。
そのうえ、加害車両が衝突後、バックして衝突位置に近づけたのに、そのバックした位置を加害車両が衝突後に停止した位置と記載されていたため、加害車両の速度違反を立証するのに大変苦労しました。
目撃証人がいなかったら、加害者の速度違反は立証できなかったと思われます。※

※道路の幅員は時間が経過しても変化がないのが通常であり、その意味では急いで現場検証する必要はないのですが、フロントガラスや自動車部品の破損は散逸しやすいので、急いでその位置を確認し、写真撮影してその破片の錯乱位置関係がわかるようにして残しておく必要があります。

証拠保存の手法について

以上のことから、警察任せにして放っておくのではなく、自身またはそのご家族や関係者が、自助努力で、鉄則1及び鉄則2を遵守して頂く必要があります。

現場検証とビデオ撮影

現場検証とビデオ撮影は、事故直後にしておくのが理想です。
フロントガラスの破片は風で直ぐに吹き飛ばされるし、血痕やブレーキ痕、擦過痕は時の経過とともに消失するからです。
また、道路の形状が事故後の安全対策として直ぐに変更されてしまうことも少なくないからです。

やりとりをボイスレコーダーで録音

警察や検察官、加害者、目撃者とのやりとりはボイスレコーダーで録音しておいて下さい。
それが出来なかったときは、直後にメモしておいて下さい。水掛け論が回避でき、自身の思い込みによる誤認も防げ、正確な証拠が残るからです。

加害者車両、被害車両、ヘルメット、着衣の損傷状況の保全

加害者車両、被害車両、ヘルメット、着衣の損傷状況の保全は特に重要です。
スピード、衝突の角度、衝撃の程度、といった受傷機転や、過失割合を認定するうえで有力な証拠となるからです。
保全の方法としては警察に保管してもらうのが理想ですが、いつまでも保管してくれませんので写真撮影しておいて下さい。

損傷部位のアップが一枚あるだけでは、それが本件被害車両なのか、第三者にはわからないからです。遠位からナンバープレートと損傷部位が同時に撮影されている写真を撮っておくことは必定です。遠位からナンバープレートと損傷部位が同時に撮影されている写真を撮っておくことは必定です。

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